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DXリテラシー標準とは? 必要性や効果的な学習方法を全て解説

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  • 自社のDX推進が行き詰まっている……経済産業省が提唱する「DXリテラシー標準」が参考になると聞くが、内容がよくわからない
  • 具体的に何を、どのように社員に学ばせればよいかわからず、立ち止まってしまっている

DXを成功させるには、経営者から社員一人ひとりに至るまで、全員がデジタル技術について理解・関心をもつ必要があります。しかしながら、上記のように、社員のマインド醸成やスキルアップにお悩みの方は多いのではないでしょうか。

そこで注目されているのが、経済産業省が策定した「DXリテラシー標準」です。これは全てのビジネスパーソンがDXに関する知識やスキル・マインドを身に付けるための指針で、役職や部署を問わず、共通の理解を育むための「学びの土台」となります。これに基づいて学習を進めることで、DX推進に向けた「共通言語」を社内に浸透させることができるのです。

DXリテラシー標準は、一部の専門家向けのものではありません。全社員が日常業務の中でDXを「自分ごと」として実践するための基礎を身に付けることを目的としており、以下の4つの要素(マインド・スタンス、Why、What、How)で構成されています。

社員一人ひとりがこれらを理解することで、足並みを揃えた取り組みが可能になります。

とはいえ、このように多岐にわたる知識を一人で身に付けるのは簡単ではありません。限られた時間の中で効率的に習得するには、「学び方」の設計も重要です。単に「何を学ぶか」だけでなく、「どう学ぶか」にも目を向けることが、DX人材育成の第一歩となります。

この記事では、DX銘柄企業(※)の94%が導入している動画学習サービス「グロービス学び放題」を提供しているグロービスが、DXリテラシー標準の全体像と、具体的な学習方法をまとめて解説します。

最後までお読みいただければ、DXリテラシー標準が示すスキルや知識の内容が明確になり、自社に合った効果的な学び方を検討できるようになります。

DX推進は、全社員がベースとなる基礎知識を習得することから始まります。社内の足並みが揃わず停滞を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

(※)東京証券取引所に上場している企業のうち、「企業価値の向上に繋がるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業」として、経済産業省が東京証券取引所および独立行政法人情報処理推進機構と共同で選定


目次

1.「DXリテラシー標準」とは、全ビジネスパーソンがDXに関する知識やスキル・マインドを身に付けるための指針のこと

2.DXリテラシー標準の具体的な学習項目
 2-1.マインド・スタンス|DX推進のために、新たな価値を創出できる意識・姿勢を身に付ける
 2-2.DXの背景(Why)|社会や顧客の変化など、DXが求められている背景を知る
 2-3.DXで活用するデータ・技術(What)|DX推進に必要なデータやデジタル技術の基本を理解する
 2-4.データ・技術の利活用(How)|データやデジタル技術を業務で活用するための、実践的な知識と留意点を学ぶ

3.DXリテラシー標準に沿って社員を育成する3つのメリット
 3-1.全社員がDX推進の必要性を理解でき、足並みが揃う
 3-2.全社員が同じ知識を持ち、DX推進を加速できる
 3-3.デジタル技術を正しく扱えるようになり、インシデントを回避できる

4.社員のDXリテラシー習得を後押しする学習方法3選
 4-1.内製研修
 4-2.外部委託研修
 4-3.eラーニング
 4-4.DXリテラシーを学ぶなら集合研修とeラーニングの組み合わせがおすすめ

5.DXリテラシー(DXスキル)の研修事例
 5-1.大阪ガス株式会社様
 5-2.大東建託株式会社様

6.【重要】「DXリテラシー標準に沿って育成しても成果が出ない」を防ぐ3つのポイント
 6-1.効果測定を行い、習熟度や課題を把握する
 6-2.インプットだけでなく、アウトプットの機会を設ける
 6-3.自社のDX戦略をふまえ、次の成長ステップを設計する

7.DX推進を通じた企業価値向上を目指すなら、質の高い教材で学ぶことが大切

8.DX銘柄企業の94%が導入済みの「グロービス学び放題」ならDXリテラシーを効率よく学べる
 <特長1>DXリテラシー標準に対応した豊富なコンテンツをご用意。必要な知識を体系的に学べる
 <特長2>「DXアセスメント」で学習の成果を可視化できる

9.まとめ


1.「DXリテラシー標準」とは、全ビジネスパーソンがDXに関する知識やスキル・マインドを身に付けるための指針のこと

DXリテラシー標準
概要全ビジネスパーソンがDXに関する知識やスキル・マインドを身に付けるための指針
対象者役職や部署を問わず、全社員
ポイント⚫︎経済産業省が定めた「デジタルスキル標準」の1つで、DX推進の第一歩になる
⚫︎DXを自分ごととして捉え、組織全体で足並みを揃えて推進するための基礎知識を体系的に整理している

冒頭でも触れたように、DXリテラシー標準とは「全てのビジネスパーソンが身に付けるべき、DXを推進するための知識やスキル・マインドを整理した指針」です。以下の4つの要素で構成されており、DXを自分ごととして捉え、主体的に行動することをゴールにしています。
「難しいデータを分析する」「ソフトウェアを管理する」などの専門的な知識ではなく、あくまでも、誰もが知っておくべき基礎的な知識を習得範囲にしているところが特徴です。

DXリテラシー標準の4つの要素
マインド・スタンスDX推進のために、新たな価値を創出できる意識・姿勢を身に付ける
<学習のゴール>
社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要なマインド・スタンスを知り、自身の行動を振り返ることができる
DXの背景(Why)社会や顧客の変化など、DXが求められている背景を知る
<学習のゴール>
人々が重視する価値や社会・経済の環境がどのように変化しているか知っており、DXの重要性を理解している
DXで活用するデータ・技術(What)DX推進に必要なデータやデジタル技術の基本を理解する
<学習のゴール>
DX推進の手段としてのデータやデジタル技術に関する最新の情報を知ったうえで、その発展の背景への知識を深めることができる
データ・技術の利活用(How)データやデジタル技術を業務で活用するための、実践的な知識と留意点を学ぶ
<学習のゴール>
データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの利用方法を身に付けたうえで、留意点などをふまえて実際に業務で利用できる

DX推進時には「DXの必要性を理解してもらえない」「DX推進部は頑張っていても現場の意識が低い」など、社員の知識不足とモチベーションのばらつきが課題になるケースが多いものです。これは多くの社員がDXに関する基礎知識を学ぶ機会がなく、体系的に理解できていないことが原因です。

DXリテラシー標準に沿って学ぶと全社員が同様の知識を習得でき、DX推進に向けて足並みを揃えられます。つまり、DX推進時の課題となる部分をカバーして、企業としてDXを推進しやすい土台を構築できるのです。
そのため自社のDX推進が難航している場合は、取り組みの第一歩として、DXリテラシー標準から学びを始めることがおすすめです。

【DXリテラシー標準はデジタルスキル標準の1つ】
経済産業省は、企業などのDX推進に必要なスキルを「デジタルスキル標準」にまとめています。
デジタルスキル標準は、「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」の2つに分類されています。

DX推進スキル標準がデザイナーやソフトウェアエンジニアなどの専門職のスキルを対象としているのに対し、DXリテラシー標準は全ビジネスパーソンを対象とした基礎知識である点が大きな違いです。
※参考:経済産業省「デジタルスキル標準」、2025年6月に内容確認

2.DXリテラシー標準の具体的な学習項目

1章でご説明した通り、DXリテラシー標準は4つの要素で構成されています。要素ごとに学習項目が定められており、それらをバランスよく学ぶと、DX推進に必要な基礎知識を体系的に習得できます。

この章では、経済産業省が提示しているDXリテラシー標準の学習項目を詳しく解説します(※)。この内容をベースに自社の方針や業務内容をふまえてアレンジすることもできるため、参考にしてみてください。
※参考:独立行政法人情報処理推進機構・経済産業省「デジタルスキル標準」、2025年6月に内容確認

4つの項目学習項目・身に付けるスキル
4つの項目
学習項目・身に付けるスキル
マインド・スタンス
DX推進のために、新たな価値を創出できる意識・姿勢を身に付ける
⚫︎変化への適応
⚫︎コラボレーション
⚫︎顧客・ユーザーへの共感
⚫︎常識にとらわれない発想
⚫︎反復的なアプローチ
⚫︎柔軟な意思決定
⚫︎事実に基づく判断
DXの背景(Why)
社会や顧客の変化など、DXが求められている背景を知る
⚫︎社会の変化
⚫︎顧客価値の変化
⚫︎競争環境の変化
DXで活用するデータ・技術(What)
DX推進に必要なデータやデジタル技術の基本を理解する
⚫︎社会におけるデータ
⚫︎データを読む・説明する
⚫︎データを扱う
⚫︎データで判断する
⚫︎AI
⚫︎クラウド
⚫︎ハードウェア・ソフトウェア
⚫︎ネットワーク
データ・技術の利活用(How)
データやデジタル技術を業務で活用するための、実践的な知識と留意点を学ぶ
⚫︎データ・デジタル技術の活用事例
⚫︎ツール利用
⚫︎セキュリティ
⚫︎モラル
⚫︎コンプライアンス

2-1.マインド・スタンス|DX推進のために、新たな価値を創出できる意識・姿勢を身に付ける


【学習のゴール】
社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要なマインド・スタンスを知り、自身の行動を振り返ることができる


DXリテラシー標準の土台となる知識が「マインド・スタンス」です。「DXは一部の専門部署の話。自分には関係ない」というマインドの社員がいては、全社一丸となってDXを推進することは難しいでしょう。社員全員がDXを自分ごととして捉えて足並みを揃えるために、まずはDXに対する意識、姿勢を変える必要があるのです。

「マインド・スタンス」では、主に次のような知識を身に付けます。

学ぶ内容求められる行動・学習例
変化への適応
⚫︎主体的な学び
⚫︎新たな価値観、行動様式、知識、スキルの習得
組織がもつ既存の価値観を尊重しつつ、新たな価値観や知識、スキルを身に付ける行動ができる
<学習項目の例>
⚫︎eラーニングや勉強会などを通じて新しい知識を継続的に学ぶ方法
⚫︎変化を前向きに受け入れるための考え方
コラボレーション
⚫︎様々な専門性をもった人との協働
⚫︎多様性の尊重
社内・社外問わず様々な専門性をもった人と協働する重要性を理解し、多様な働き方や考え方を受け入れられる
<学習項目の例>
⚫︎異なる専門性やバックグラウンドを持つ人と協働する意義
⚫︎心理的安全性やダイバーシティに関する基礎知識
顧客・ユーザーへの共感
⚫︎顧客の立場に立ったニーズや課題の発見
顧客やユーザーの立場からニーズ・課題を捉えられる
<学習項目の例>
⚫︎カスタマージャーニーの作成手法
⚫︎顧客インサイトやペルソナ設計に関する基礎知識
常識にとらわれない発想
⚫︎既存の概念・価値観にとらわれないアイデアの発案
⚫︎従来の業務の進め方の見直し
既存の概念・価値観にとらわれず、新たな視点で物事を考えられる
<学習項目の例>
⚫︎デザインシンキングなど、業務改善や新規提案に必要な創造的思考法
⚫︎既存のルールや前提を見直し、新しいアイデアを生み出すための考え方
反復的なアプローチ
⚫︎小さなサイクルでの実施と反復的な改善
⚫︎学習機会としての失敗の受容
失敗してもその都度軌道修正して学びを得られれば「成果」であると認識し、小さな挑戦を重ねられる
<学習項目の例>
⚫︎「アジャイル思考」と「PDCAサイクル」の違いと活用法
⚫︎「仮説→検証→学び」を繰り返す思考法
柔軟な意思決定
⚫︎臨機応変な意思決定
前例がないことに取り組む際に「成功事例がない」と諦めず、臨機応変に意思決定する姿勢をもつ
<学習項目の例>
⚫︎不確実な状況でも迷わず判断するための思考法
⚫︎リスクとリターンを比較して選択する意思決定手法(ディシジョンツリー)
事実に基づく判断
⚫︎客観的な事実やデータに基づいた判断
⚫︎適切なデータの入力、使用
自身の勘や経験のみを頼るのではなく、客観的な事実やデータに基づき判断できる。データは適切に扱うことができる
<学習項目の例>
⚫︎数字やグラフから意味を読み取る方法
⚫︎データや事実に基づいて判断する考え方

例えば、「前例がないから」「過去うまくいかなかったから」といった理由で新しい挑戦を見送ってしまうような組織風土がある場合は、時代やニーズの変化に応じて柔軟に判断し、まずはやってみる姿勢を育むことが大切です。
また、これまで感覚や経験だけで意思決定していた場合は、「なんとなく」ではなくデータを根拠に考える意識をもち、客観的な視点で物事を捉えるマインドへとシフトしていく必要があります。

2-2.DXの背景(Why)|社会や顧客の変化など、DXが求められている背景を知る


【学習のゴール】
人々が重視する価値や社会・経済の環境がどのように変化しているか知っており、DXの重要性を理解している


DX推進のマインド・スタンスが整ったところで、次に「DXの背景」を学びます。DXがなぜ求められているのかを理解できないと、自分ごととして捉え、主体的に行動することが難しいためです。
そこで、DXが重要視されるようになった社会の変化や顧客価値の変化など、企業を取り巻く以下のような変化を理解します。

学ぶ内容求められる行動・学習例
社会の変化国内外の社会変化を理解して、課題解決のためにデータやデジタル技術の利活用が有用であると認識している
<学習項目の例>
⚫︎IoT・AI・ビッグデータの進化による産業構造と働き方の変化(第4次産業革命)
⚫︎少子高齢化や労働人口減少に伴う社会課題
⚫︎日本と海外におけるDXの取り組みの差
顧客価値の変化デジタル技術の発展で顧客価値がどのように変化したのか理解している
<学習項目の例>
⚫︎SNSを通じた情報収集や、インフルエンサーの影響力拡大による購買行動の変化
⚫︎「すぐに届く・手間なく使える」といった利便性を重視する価値観の浸透(eコマース、デリバリーサービスなど)
競争環境の変化
データ・デジタル技術の発展や社会・顧客ニーズの変化により、かつての競争優位の要素が通用しにくくなり、業界や国境を越えた新たな競争が激化していることを理解している
<学習項目の例>
⚫︎デジタル技術によって競争の軸が変化した業界の事例(小売・金融・メディアなど)
⚫︎異業種や海外企業による市場参入が進むビジネスモデルの事例(異業種からのサブスク参入、外資系ITによる金融参入など)

「社会や顧客価値の変化」を学ぶことによって、これまで当たり前だった購買行動や価値観が、データやデジタル技術の活用により大きく変わっていることに気付くことができます。
「競争環境の変化」では、そうした社会や顧客の変化を受けて、これまでの強みだけでは選ばれなくなる時代が来ていることを実感できるでしょう。

例えば小売業界では、オンラインでの購買が当たり前になり、SNSやアプリを通じた顧客との接点が増える中で、「店舗に来てもらう」だけでは戦えなくなっています。オンラインとオフラインを融合した顧客体験をつくり上げることで体験価値を向上させ、顧客一人ひとりの行動やニーズに即したパーソナライズされたサービスを提供する必要が出てきているのです。

こうした取り組みはデジタルとリアルの区別を越えて顧客体験を最適化するアプローチであり、これからの企業競争力を左右する重要な視点となっています。
このように、DXが求められる背景を自社の業界や取り組みと結びつけて考えることで、DX推進の必要性が腑に落ちるようになります。

2-3.DXで活用するデータ・技術(What)|DX推進に必要なデータやデジタル技術の基本を理解する


【学習のゴール】
DX推進の手段としてのデータやデジタル技術に関する最新の情報を知ったうえで、その発展の背景への知識を深めることができる


DX推進が必要な理由を理解したうえで、次に重要となるのが「具体的に何を用いてDXを推進するのか」を把握することです。
いくらDXの必要性を認識していても、活用すべきデータや技術についての理解が不十分であれば、実行段階で立ち止まってしまう恐れがあります。
そこで、以下のように、DX推進にはどのようなデータ・技術を活用できるのかを理解していきます。

学ぶ内容求められる行動・学習例
社会におけるデータデータの分類や蓄積方法、活用方法を理解している
<学習項目の例>
⚫︎データの種類(音声、文字、画像、一次データ、二次データなど)
⚫︎データの活用法(ビッグデータ、オープンデータなど)
データを読む・説明するデータの分析方法や結果の読み取り方を理解し、その意味合いを正しく把握・説明するための考え方を身に付けている
<学習項目の例>
⚫︎データの分析手法(データの種類、データの分布など)
⚫︎データの読み取り方(条件を決めた比較など)
⚫︎データの可視化手法(グラフ作成、データの説明など)
データを扱うデジタル技術・サービスに活用しやすいデータの入力や整備の手法、管理方法を理解している
<学習項目の例>
⚫︎データの入力、出力方法
⚫︎データの加工方法
⚫︎データを管理するデータベースの種類
データで判断する業務・事業の構造、分析の目的を理解してデータを利活用するアプローチを理解している。分析結果から改善アクションを見出し、アクションの結果をモニタリングする手法を把握している
<学習項目の例>
⚫︎データの判断プロセス
⚫︎分析のアプローチ方法
⚫︎データをモニタリングする方法
AI
AIが求められる背景や仕組みを理解し、何ができて何ができないのかを正しく把握している。併せて、AIの活用可能性や、精度を高めるための方法を理解している
<学習項目の例>
⚫︎AIの歴史とAIの仕組み
⚫︎AIでできること・できないこと
⚫︎最新の技術動向
⚫︎AI活用のポイント
クラウドクラウドの仕組み、クラウドとオンプレミスの違い、クラウドサービスの提供形態を理解している
<学習項目の例>
⚫︎クラウドの仕組み
⚫︎クラウドサービスの提供形態(SaaS、 IaaS、PaaSなど)
⚫︎最新の技術動向
ハードウェア・ソフトウェアコンピュータやスマートフォンなどが動作する仕組み、社内システムの仕組みを理解している
<学習項目の例>
⚫︎ハードウェアとソフトウェアの概要
⚫︎社内システムがどのように開発、運用されているかの基本的な仕組み
ネットワークネットワークの基礎的な仕組みやインターネットサービスの種類、技術を理解している
<学習項目の例>
⚫︎ネットワークやインターネットの仕組み
⚫︎インターネットサービスの種類と特徴(クラウドストレージ、電子メール、ウェブ会議システムなど)

この領域では、データの種類や分析手法といった基本的な知識に加えて、AIやクラウド、ネットワークといった主要技術の概要を学びます。

例えば、「社内にデータはあるけれど、何がどう役立つのかわからない」「AIってよく聞くけれど、実際に何ができて何ができないのか曖昧」と感じたことはないでしょうか。

DXを推進するには、単にデジタルツールを導入するだけでなく、社員一人ひとりがそれらを活用し、判断や改善に繋げる力が必要です。こうした不安や疑問を解消するためには、まず基礎的な知識を押さえることが欠かせません。具体的な分析手法やデータを扱うためのツールの使い方などを理解することが、DXの第一歩となります。

2-4.データ・技術の利活用(How)|データやデジタル技術を業務で活用するための、実践的な知識と留意点を学ぶ


【学習のゴール】
データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの利用方法を身に付けたうえで、留意点などをふまえて実際に業務で利用できる


この領域では、これまでに習得した知識をふまえて、実際に業務の中でデータやデジタル技術をどう活用していくかを学びます。いかに多くの知識をもっていても、それを業務で活かせなければDXは前進しません。だからこそ「知っている」から一歩進み、「活用できる」状態を目指すことが重要です。

以下のような実践的な内容を学び、企業内で安全にデータやデジタル技術を利活用できる状態を目指します。

学ぶ内容求められる行動・学習例
データ・デジタル技術の活用事例ビジネスにおけるデータ・デジタル技術の活用事例を知って、自身の業務への適用場面を想像できている
<学習項目の例>
⚫︎データ・デジタル技術の活用事例(ロボットの導入事例、顧客管理システムの導入事例など)
⚫︎生成AIの導入事例(情報収集、課題抽出など)
ツール利用ツールの利活用に関する知識を持ち、日常業務で適切なツールを選択、活用できている
<学習項目の例>
⚫︎日常業務でのツール活用(チャットコミュニケーション、プロジェクト管理ツールなど)
⚫︎生成AIの利用方法(プロンプト作成、画像生成など)
セキュリティ安心してデータやデジタル技術を利用できるセキュリティ知識を習得している
<学習項目の例>
⚫︎セキュリティ技術(多要素認証、IP制限など)
⚫︎個人、企業のセキュリティ対策(メールやパスワードの扱い、個人情報の扱いなど)
モラルモラルを持ち、インターネット上で適切なコミュニケーションを取る知識を習得している。データ流出の危険性や影響を理解して、適切にデータを利用している
<学習項目の例>
⚫︎インターネット、SNS、生成AIのトラブル事例と対策
⚫︎データ利用における禁止事項や留意事項
コンプライアンス
知的財産権や著作権、その他法律、諸外国のデータ規制などを理解し、自身の業務が法規制や利用規約に沿っているか確認できている
<学習項目の例>
⚫︎個人情報の定義、個人情報に関する法律
⚫︎知的財産権が保護する対象
⚫︎諸外国でのデータ規制
⚫︎社内や組織での利用ルール

DXを推進するには、データやデジタル技術の正しい使い方を理解することが不可欠です。

例えば「便利そうだから」と生成AIを試験的に使ってみたものの、セキュリティや著作権の観点で不安が残り、社内での利用がストップしてしまった──そのような経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

昨今は、モラルやコンプライアンス違反が大きなトラブルに発展するケースも少なくありません。
この領域では、業務で活用するうえでの注意点や、セキュリティ・モラル・コンプライアンスといった観点から安全に扱うための知識を網羅的に身に付けていきます。

以上のように、DXリテラシー標準は、DXの本質を理解し、社員一人ひとりが日々の業務の中で自らデジタル技術やデータを活用できるようになるための、実践的な学びの指針となっています。

3.DXリテラシー標準に沿って社員を育成する3つのメリット

DXリテラシー標準の全体像を把握したうえで、次に考えたいのは「なぜ、社員にこの学びが必要なのか」という点です。ここでは、社員がDXリテラシー標準の内容を習得することで、企業のDX推進にどのような好影響がもたらされるのかを具体的にご紹介します。

3-1.全社員がDX推進の必要性を理解でき、足並みが揃う

社員がDXリテラシー標準に沿って学ぶ大きなメリットとして、「DX推進に向けて全社員が同じ方向を向けるようになること」があります。DXを推進するキーパーソンがいくら鼓舞しても、現場の社員一人ひとりが「なぜDXが必要なのか」「自分に何が求められているのか」を理解していなければ、組織としての動きはバラバラになってしまいます。

「DXは技術職や一部の専門部署が取り組むもの」と考えている人も少なくありません。ですが今や、デジタル技術やデータの活用は特定の職種にとどまらず、あらゆる業務領域に影響を及ぼしています。むしろ、日々の業務の中で「ここを効率化できないか」「もっと付加価値を出せないか」と感じている現場の社員こそが、DXのヒントを最も多くもっているのです。

DXリテラシー標準は、こうした気付きを全社に広げ、共通の言語や理解を育むためのガイドラインです。一部の推進者が奮闘するのではなく、全社員が一定水準の知識・スキルを備えることで、はじめて「全社的なDX推進」が実現可能になります。 結果として、DXに対する認識や行動にばらつきがなくなり、組織全体が足並みを揃えて前進できるようになるのです。

3-2.全社員が同じ知識を持ち、DX推進を加速できる

2つ目のメリットは、全社員が共通の土台となる知識をもつことで、DX推進のスピードと一体感が高まることです。「DXについて学んでください」と言われても、その捉え方は人によって千差万別です。

以下は、DXを学ぶときによく取り上げられるテーマです。DXにまつわるテーマは広く、部署や役職、経験値によって思い浮かべる内容も異なります。その結果、「何を学べばよいのか」「どのように業務に活かすのか」が部署ごとに異なり、足並みが揃わない状態を招きがちです。


【DXを学ぶときに取り上げられるテーマ例】
・顧客体験のデジタル化
・オペレーションのデジタル化
・新規事業の創出
・スキルの再教育
・DXの推進事例


こうした課題に対して、「DXリテラシー標準」を基準とすれば、全社員が共通で学ぶべき知識やスキルが明確になります。学ぶべきことが定まっていない状態を防ぎ、組織全体が同じ方向を向くための軸が生まれます。

この知識の統一は、結果としてDX推進を加速させる土台となります。
例えば情報処理推進機構が公表している「DX動向2024」によれば、DXを進められない理由の一つに「知識・スキルの不足」が挙げられており、多くの企業が直面している共通課題であることが窺えます。

全社員が共通の理解を持てば、自然と知識・スキル不足は解消できるでしょう。それだけでなく、「もっと深く学びたい」「このツールを業務で使ってみたい」といった自発的な動きが生まれ、組織内のナレッジ共有も活発になります。

※「DXに取組む予定はない」「DX に取組むかわからない」と回答した企業を対象に調査
※出典:情報処理推進機構「DX動向2024」をもとに作成(2025年6月に内容確認)

実際DXに成功している企業の多くは全社員がデジタル技術を抵抗なく使える環境(教育・人事評価制度等)を整えており、これは「知識の標準化」がDX推進の基盤であることを示しています。

※n=344社(DX銘柄・DX注目企業・DX認定取得済企業)
※出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーション調査2024の分析」をもとに作成(2025年6月に内容確認)

このように、DXリテラシー標準を軸とした学びは、全社的な学びの方向性を整えると同時に、組織の推進力そのものを高める強力なエンジンとなるのです。

3-3.デジタル技術を正しく扱えるようになり、インシデントを回避できる

3つ目のメリットは、デジタル技術を正しく扱えるようになるため、インシデントを回避できることです。 デジタル技術やデータには、従来の情報とは異なる特性があり、取り扱いには注意が必要です。正しい知識がないまま業務での活用を進めると、情報漏えいやウイルス感染、パスワード管理の不備など、重大なトラブルに繋がるリスクがあります。

実際、情報セキュリティ会社「トレンドマイクロ」が実施した「DX推進における法人組織のセキュリティ動向調査」では、DX推進のために導入したシステムで、35.2%の担当者が何らかのサイバーセキュリティインシデントを経験しているという結果が出ています。

※n=315名
※出典:トレンドマイクロ株式会社「DX推進における法人組織のセキュリティ動向調査」をもとに作成(2025年6月に内容確認)

こうしたインシデントは、情報漏えいや業務停止、更に企業の信頼低下や取引停止といった深刻な影響をもたらす可能性があります。だからこそ、DXリテラシーの学習を通じて、全社員がセキュリティやコンプライアンスの基本を理解し、新しい技術を正しく安全に使えるようになることが重要です。
単にデータやツールの使い方を覚えるだけでなく、それらを“安全に”使う意識とスキルを育てることが、DXを成功させるための鍵となります。

4.社員のDXリテラシー習得を後押しする学習方法3選

社員のDXリテラシー習得を後押しする方法としてとして、「内製研修」「外部委託研修」「eラーニング」の3種類があります。どれか1つを選択するのではなく、それぞれのメリット、デメリットを把握したうえで、組み合わせて活用することがおすすめです。

研修方法向いているケース
内製研修
(自社で企画・運営)
⚫︎自社で導入するツールや業務プロセスに即した実践的な内容を扱いたい場合
⚫︎自社のDX戦略やビジョンを社員に共有・浸透させたい場合
外部委託研修
(外部の研修会社を活用)
⚫︎自社に不足している専門的な知識や、最新の動向を習得したい場合
⚫︎研修の企画・運営にかかる工数や負担を削減したい場合
eラーニング
(オンライン上で動画やテキストを視聴)
⚫︎DXの基礎知識や概念を体系的に学ばせたい場合
⚫︎全社員に時間や場所を問わず学習機会を提供したい場合

4-1.内製研修

内製研修
自社で企画・運営する研修
メリット⚫︎自社の業務やツールに即した実践的な研修を設計しやすい
⚫︎DX推進における自社の戦略や方針を一貫して伝えやすい
デメリット⚫︎社内に十分な知見や指導ノウハウがない領域には対応しにくい
⚫︎研修の企画から運営までの負担が大きい
向いているケース⚫︎導入予定のツールの操作や活用方法など、実務に即した内容を扱いたい場合
⚫︎DXに関する自社の考え方や方向性を社内に浸透させたい場合

内製研修とは、自社で企画・運営する研修のことです。例えば以下のように、DXに関する知識をもつ社員が講師となり、実践的な学びの場を提供します。


・DX推進室の社員が、DXの基礎知識や用語について講義する
・実際に導入予定のデジタルツールの操作方法を指導する
・自社のDXのビジョンをもとに、グループで推進方針を検討する


このように、自社の業務や方針に即した実技・ディスカッションを取り入れやすい点が大きな特長です。
例えば、
「自社で使うツールを実務で活用できるようにする」
「自社のDX戦略を全社員で検討・共有する」
など、自社の状況をふまえた学びを設計しやすいのが、内製研修の大きなメリットといえるでしょう。

一方で、専門的な知見が求められるテーマには対応しにくいという課題もあります。例えば、AIやクラウドサービスの活用といった領域では、社内に十分な知識や経験がない場合、正確かつ効果的な指導が難しくなる可能性があります。

更に、研修の企画から講師の手配、運営までを自社で担う必要があるため、DX推進室など特定の部門への負荷が大きくなる点にも留意が必要です。DXリテラシー標準のように、全社員が基礎から習得すべき内容を扱う場合には、一定の人的リソースと準備期間を見越した設計が不可欠となるでしょう。

4-2.外部委託研修

外部委託研修
外部の研修会社を活用する研修
メリット⚫︎自社に蓄積されていない専門的な知識や最新トレンドを効率的に学べる
⚫︎専門家の講師による研修で、質や信頼性の高い学びを得られる
デメリット⚫︎講師や研修会社とのスケジュール調整が必要となり、実施までに時間がかかる場合がある・内製研修に比べて、受講料などのコスト負担が大きくなりやすい
向いているケース⚫︎社内に十分な知見がない領域の学習を進めたい場合
⚫︎研修の企画・運営にかかる手間や負担を削減したい場合

外部委託研修は、外部の研修会社や講師を活用して実施する研修のことです。例えば以下のようなものが該当します。


・専門講師を招いて、DXリテラシー標準に関する知識を解説してもらう
・研修の企画から運営までを、外部の研修会社に一括して依頼する
・DX人材育成に対応したビジネススクールに社員が通学する


外部委託研修の大きなメリットは、自社では対応が難しい専門領域にも対応できる点です。
例えば、DXリテラシー標準の中でも、背景や推進意義については社内で伝えられても、AIやビッグデータ、クラウドといったデジタル技術の具体的な活用方法については知見が不足しているというケースは少なくありません。こうした分野では、外部の専門講師の正確でわかりやすい説明によって、受講者の理解を深めることができます。難解な概念や用語も、経験豊富なプロが噛み砕いて伝えてくれるため、これまでDXに苦手意識のあった社員にも関心をもってもらえる可能性が高まります。
更に、専門家ならではの視点で最新の事例や業界動向を交えて学べる点も、外部委託ならではの強みです。

一方で、外部委託研修にはいくつかの注意点もあります。
まず、講師や研修会社とのスケジュール調整が必要になるため、社内の予定だけで柔軟に進められないことがあります。特に大人数を対象とする場合や他部署との連携が必要な場合は、調整工数が増えやすく、進捗管理に注意が必要です。
また、内製研修と比べてコストがかかる点も意識しておきましょう。講師料、研修設計費、教材費などが発生するため、費用対効果を意識した設計と、学習成果を明確にする工夫が求められます。

※関連コラム:社員研修の費用相場はいくら?予算内で最大限の効果を生むコツを解説

4-3.eラーニング

eラーニング
オンライン上で動画やテキストを視聴して学ぶ
メリット⚫︎DXに関する幅広い領域を体系的に学べる
⚫︎受講者の習熟度やスケジュールに合わせて、柔軟に学びを進められる
デメリット⚫︎学んだ知識を実務で活かすためのアウトプット機会を別途設ける必要がある
⚫︎「わかる」から「できる」に押し上げるには工夫が求められる
向いているケース⚫︎DXに関する基礎知識を網羅的に学ばせたい場合
⚫︎全社員に対し、時間や場所を問わず学習機会を提供したい場合

eラーニングは、オンライン上で動画やテキストを視聴して学ぶ方法です。パソコンやタブレット、スマートフォンなどからサービスにアクセスし、対象のコンテンツを視聴しながら知識を習得します。例えば以下のような運用が考えられます。


・DXリテラシー標準に対応したeラーニングを用いて、社員が自発的に学習する
・全社員に対してeラーニングの受講を必須化し、共通理解の醸成を図る


eラーニングの大きな強みは、DXリテラシー標準に必要な知識を体系的かつ効率的に学べる点にあります。「2.DXリテラシー標準の具体的な学習項目」でも触れたように、DXリテラシー標準の学習領域は多岐にわたります。全てを集合研修(内製研修・外部委託研修)で学ばせようとすると時間や工数が大きくなりますが、eラーニングであれば、予め用意された教材を活用することで、全領域を計画的にカバーすることが可能です。

例えば、グロービスが提供している動画学習サービス「グロービス学び放題」では、DXリテラシー標準に対応した複数の学習コンテンツをご用意しています。順を追って視聴することで、必要な知識を効率よく身に付けることができます。
また、eラーニングは時間や場所にとらわれずに学べる柔軟性も魅力です。インターネット環境と端末さえあれば各自のペースで学習が進められるため、全社員に対する平等な教育機会の提供や、スケジュール調整の手間削減にも繋がります。

一方で、eラーニングは基本的にインプット中心の学習形式となるため、学んだ内容を実践に結びつけるための工夫が求められます。「わかる」から「できる」へとスキルを定着させるには、確認テストや実際のツール操作、ディスカッションの機会など、アウトプットの場を設けることが重要です。

※関連コラム:eラーニング導入を失敗しないための10のステップを解説!

4-4.DXリテラシーを学ぶなら集合研修とeラーニングの組み合わせがおすすめ

ここまで見てきたように、DXリテラシーの学び方には様々な手法があり、それぞれにメリットと留意点があります。どれか一つに絞るのではなく、特性を活かして組み合わせることが、効果的な人材育成に繋がります。
なかでもおすすめなのが、eラーニングによる基礎知識のインプットと、集合研修による実践的なアウトプットの組み合わせです。

eラーニングでは、全社員が自分のペースで学習できる環境を整えることができます。DXリテラシー標準で求められる幅広い知識を体系的に習得できるため、効率的な学びが実現するでしょう。そこに集合研修を掛け合わせることで、学んだ知識を実践に繋げ、「わかる」から「できる」へのステップアップを図ります。

例えば、自社で導入するツールの操作を実践したり、自社のDX戦略をテーマにディスカッションを行ったりすることで、現場での行動変容に繋げることが可能です。また、eラーニングによるインプットだけでは理解が難しい内容や、学習状況の分析によって多くの社員が苦手意識をもっていることが明らかになった領域については、集合研修で補完することも有効です。

このように、eラーニングと集合研修を適切に組み合わせることで、双方の弱点を補いながら、DXリテラシー標準で示されている学習項目を着実に習得することができるのです。

5.DXリテラシー(DXスキル)の研修事例

続いて、企業が社員のDXスキルをどのように育成しているか、具体的な成功事例をご紹介します。
グロービスの動画学習サービス「グロービス学び放題」と、他の研修手法を組み合わせて成果を上げている企業様の実例です。ぜひご参考にしてください。

5-1.大阪ガス株式会社様

大阪ガスを中心としたDaigasグループ様はDX推進に力を入れており、2021年には経済産業省の「DX注目企業2021」に選定されました。2026年度までに累計300人の「DX中核スタッフ人材(DXを主体的に推進する人材)の確保」を目標に掲げ、育成施策を行っています。

課題⚫︎全社的なDX推進の必要性に対し、デジタル技術を活用して事業変革を推進できる「DX企画人材」が不足していた
取り組み内容⚫︎DX企画人材を選抜し、OJT・ワークショップ・面談を組み合わせた、一年間の育成プログラムを実施(※)
⚫︎育成プログラム修了後の行動変容を支援するため、「DX実践道場」や受講者コミュニティを設置
⚫︎全社員のうち「DXに取り組みたい」という希望者に対し、自主学習プログラムとして「グロービス学び放題」を提供
成果⚫︎自主学習プログラム終了後のアンケートでは、受講者の約7割が、業務における意識や行動に変化があったと回答した
⚫︎入社2年目の若手社員が、自主学習プログラムでの学びをきっかけに、ガス導管工事の点検票作成から決裁までをMicrosoft Teams上で完結する業務効率化システムを開発した
⚫︎自主学習プログラムの参加者約700人が、半年間で1人あたり平均10時間の学習を実践した

(※)育成プログラムの概要

※提供:大阪ガス様
※インタビュー全文はこちらから:大阪ガスに学ぶ“全員DX”時代の育成戦略プログラム受講者の約7割が意識改革!

5-2.大東建託株式会社様

大東建託グループ様は、デジタルを活用して“日常の暮らしを支える企業”へと進化することを目指し、「ビジョン2030」を掲げています。その実現に向け、約1万8000人のグループ全社員をDX人材として育成することを目標に、レイヤーを分けてDX人材育成に取り組んでいます。

課題⚫︎持続的に成長できる企業へと体質を変革するために、グループ全社員をスピーディーにDX人材へと育成する必要があった
⚫︎レイヤー別のDX認定制度(※)を導入するうえで、より多くの社員にスピーディーに学びを届ける仕組みが不足していた
取り組み内容⚫︎DX知識の土台を身に付ける「ビギナーレベル」から、DXの活用を自ら発想・実行し、組織を牽引していけるレイヤーへと、ブロンズ、シルバー、ゴールドとランクを分けて施策を実施
⚫︎ブロンズランク約700名の育成施策として「グロービス学び放題」を提供。シルバー、ゴールドランクの40-50名は専門性が高く個別にフォローする必要があるため、集合研修を実施
⚫︎学びのモチベーションを維持するため、部門ごとの「グロービス学び放題」の受講状況を全社の掲示板で公開
成果⚫︎主体的に学ぶカルチャーが根付き始め、9割以上の受講者が「グロービス学び放題」で指定されたコンテンツ視聴を完了した
⚫︎社内でリーダーやマネージャーがDXの推進者になり、デジタルやテクノロジーを活用して問題解決していく思考が醸成できてきた

(※)DX認定制度

※インタビュー全文はこちらから:DX実現に向け本社リーダー・マネジメント職に全員導入 指定プログラムを9割以上が受講完了、全社のデジタル活用の機運高まる

これらの事例が示すように、DXリテラシーの底上げは、行動変容や組織文化の変革にまで繋がります。
7.DX推進を通じた企業価値向上を目指すなら、質の高い教材で学ぶことが大切」でご説明するように、DX推進にあたっては、「何を学ぶか」と同じくらい、「何で学ぶか」も重要です。

グロービス学び放題」にはDXリテラシー標準に完全準拠したコンテンツが揃っているため、実践的で網羅的な、質の高い学習を叶えられます。

6.【重要】「DXリテラシー標準に沿って育成しても成果が出ない」を防ぐ3つのポイント

いくらDXリテラシー標準に沿った研修を導入しても、学びが行動や成果に結びつかなければDXは進みません。DXリテラシー標準はあくまで「何を学ぶべきか」のガイドラインであり、真のDX人材を育てるには、行動変容を促す育成設計と運用の工夫が欠かせません。
この章では、学習効果を最大限引き出すために、特に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

6-1.効果測定を行い、習熟度や課題を把握する

研修やeラーニングを実施しただけで満足してしまう――。これはDXリテラシー教育における典型的な落とし穴の一つです。
DXリテラシー標準がカバーする領域は、マインドセットから技術・知識まで多岐にわたります。そのため、現状の理解度や定着度を継続的に把握し、適切な打ち手を考えることが不可欠です。

効果測定の手法としては、以下のようなものが挙げられます。


【効果測定方法の一例】
・受講者アンケートを実施し、学びに対する満足度や理解度の主観的な手応えを把握する
・学習項目ごとの理解度を測る確認テストを実施し、各テーマの知識が定着しているか確認する
・全体的な習熟度を測るアセスメント・テストを実施し、DXリテラシー全体に対する理解度を確認する


例えば、eラーニング受講前後にアセスメント・テストを実施することで、知識量の変化を定量的に把握できます。また、理解が浅い領域を明らかにすることで、追加研修やフォローアップ施策の検討にも繋げられるでしょう。進捗や課題を定期的に確認する体制を整えることが、効果的な育成を実現する鍵となります。

※関連コラム:DX人材育成をする際に押さえるべき「効果測定ツール選定の3つのポイント」とは

6-2.インプットだけでなく、アウトプットの機会を設ける

知識は活用することによって深く定着します。研修を受けただけ、動画を視聴しただけでは、学びが本当の意味で“自分のもの”にならず、実務に活かす前に忘れてしまうことも少なくありません。
そのため、学んだ内容をアウトプットする場を設けましょう。実務に引き寄せて考える機会をもつことで、理解が深まり、現場での活用にも繋がります。

アウトプット機会の例
個人単位⚫︎上司や同僚との1on1で、学びを言語化・共有する
⚫︎学習内容を自分の言葉でまとめたレポートを提出する
組織単位⚫︎研修の受講者同士でDX推進に向けた意見交換を行う
⚫︎AIやクラウド利用など、テーマ別にディスカッションする
⚫︎部署やチームごとにDX推進に関する課題を設定し、取り組む
⚫︎DXを推進するための、部門横断のプロジェクトを立ち上げる

こうしたアウトプットの積み重ねは、DXリテラシーの知識を「使えるもの」に変えるだけでなく、自発的な取り組みを促し、組織全体におけるDX推進の文化醸成にも繋がります。学んで終わりではなく、実践を通じてDXを組織の力とする。そのための第一歩として、アウトプットの場を設計しましょう。

6-3.自社のDX戦略をふまえ、次の成長ステップを設計する

DXリテラシー標準の学習項目は、あくまでも全社員に求められる“共通基盤”です。DX推進を加速するには、その次にどのようなスキルを獲得させるかを明確にしておく必要があります。
例えば、DXへの関心が高まった社員に対しては、DX推進リーダーになるための育成を行うことで、社内のDX人材の厚みを増していくことができます。


【DXリテラシー標準の次に設ける研修例】
・DX推進リーダーを育成する研修
・管理職向けのDX推進研修
・「DX推進スキル標準」に沿った、専門知識を習得する研修


DXリテラシー標準の学習項目を身に付けることは、あくまでも出発点です。それを活かしてDXを着実に推進していくためには、社員の次なる成長ステージを見据えた、戦略的な育成設計が欠かせません。

グロービスでは、お客様にとってのDX人材要件の定義から育成設計の構築、育成施策まで、一気通貫でご支援しています。育成設計にお悩みの際は、ぜひグロービスにご相談ください。

※関連ページ:グロービスのDX人材育成研修

7.DX推進を通じた企業価値向上を目指すなら、質の高い教材で学ぶことが大切

近年、DXは企業価値の創出や競争優位の確立を目的として推進されるケースが増えています。こうした動きを後押しする形で、経済産業省では以下のような制度を設け、DXを積極的に推進する企業を可視化・評価しています。

DX認定制度「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業を国が認定する制度
<メリットの一例>
⚫︎DX認定事業者として社名が公表される
⚫︎「自社がDXに取り組んでいる企業」であることをPRするロゴマークが使用でき、DX推進をステークホルダーにアピールできる
※参考:経済産業省「DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)」、2025年6月に内容確認
DX銘柄東京証券取引所に上場している企業の中から、DXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定する制度
<メリットの一例>
⚫︎企業価値とブランドイメージの向上が見込める
⚫︎DX銘柄のロゴマークが使用でき、DX推進をステークホルダーにアピールできる
⚫︎社内全体で、更なるDX推進に向けた士気が高まる
※参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」、2025年6月に内容確認

なかでも「DX銘柄」では、デジタル人材育成への本質的な取り組みが一次評価項目の一部となっています。

例えば、


・経営ビジョンと連動した人材戦略を描き、社員のスキル可視化やリスキリングを推進しているか
・デジタル人材を適切に評価・活用し、自律的なキャリア形成を支援する制度があるか


といった点が評価対象です。

※参考:経済産業省「デジタルトランスフォーメーション銘柄2025」、2025年6月に内容確認

このような視点からも、社員一人ひとりにDXの意義と知識を伝える「DXリテラシー標準」に沿った育成は、企業価値向上の土台づくりに直結するといえます。

しかし、「2.DXリテラシー標準の具体的な学習項目」で触れたように、DXリテラシー標準がカバーする範囲は多岐にわたります。教材の品質によっては、学習効果が上がらず、時間もコストも無駄になりかねません。
だからこそ、はじめから「質の高い教材」で学ぶことが重要です。そうすれば、効果的に知識の習得が進み、全社的なDXリテラシーの底上げと均一化が可能になります。

「何を学ぶか」と同じくらい、「何で学ぶか」もDX推進の成否を左右します。企業価値向上を本気で目指すなら、教材の選定にもこだわりましょう。

教材選びに迷った際は、


・DXリテラシー標準に沿った内容を学べるか
・現場での活用イメージが湧くか
・効果測定やアウトプットの設計があるか


といった観点で見極めるのがポイントです。

次章では、こうした点をふまえ、「グロービス学び放題」がなぜDXリテラシー育成に適しているのかをご紹介します。教材選定の参考として、ぜひお読みください。

8.DX銘柄企業の94%が導入済みの「グロービス学び放題」ならDXリテラシーを効率よく学べる

DXを推進する第一歩は、社員一人ひとりが「自分ごと」としてデジタル活用に向き合い、変革に向けた知識を身に付けることです。そうした基盤づくりにおいて多くの企業から支持されているのが、DX銘柄企業の94%が導入済み(※)の「グロービス学び放題」です。「デジタルスキル標準」に完全準拠したコンテンツが揃っているため、実践的で網羅的な、質の高い学習が可能です。
(※)2023年6月時点算出。法人契約終了日の翌日までに新たに契約がある法人割合

<特長1>DXリテラシー標準に対応した豊富なコンテンツをご用意。必要な知識を体系的に学べる

グロービス学び放題」では、グロービスが目標達成のために学習内容を設計・厳選したコースのセット「ラーニングパス(動画のコースを目的別にパッケージ化したもの)」を約100種類ご用意しています。
「DXリテラシー標準」に対応したものも複数あり、ラーニングパスに沿って学べば、自然とテーマ通りの知識を身に付けられます。

[learning_pass]

※上記の内容は2025年6月時点。最適な学習内容を提供するため、各ラーニングパスはコースの追加等の刷新を行う場合があります。最新情報はこちらよりご確認ください。

全てのコンテンツが無料で視聴可能です!
お問い合わせはこちらから

<特長2>「DXアセスメント」で学習の成果を可視化できる

6-1.効果測定を行い、習熟度や課題を把握する」でも触れたように、育成の質を高める鍵は、知識の定着度やスキルの習熟度を定期的に確認することです。「グロービス学び放題」には、受講促進や知識定着を促すことを目的とした様々なアセスメント・テストがあり、DXリテラシー標準に対応したものもご用意しています。

評価結果はグラフなどで直感的に可視化されるため、組織全体の傾向や個別の課題もすぐに把握できます。更に、結果に基づいて、苦手分野の強化に最適なコースが自動レコメンドされる機能も搭載。人事担当者が個別対応しなくても、社員が主体的に学習を進められます。

9.まとめ

本記事でお伝えしたポイントは以下の通りです。


●「DXリテラシー標準」とは、経済産業省が提唱している、全ビジネスパーソンがDXに関する知識やスキル・マインドを身に付けるための指針のこと

● DXリテラシー標準は4つの要素で構成される
・マインド・スタンス
・DXの背景(Why)
・DXで活用するデータ・技術(What)
・データ・技術の利活用(How)

● DXリテラシー標準に沿って社員を育成するメリットは3つ
1.全社員がDX推進の必要性を理解でき、足並みが揃う
2.全社員が同じ知識を持ち、DX推進を加速できる
3.デジタル技術を正しく扱えるようになり、インシデントを回避できる

● DXリテラシーを学ぶなら、集合研修とeラーニングの組み合わせがおすすめ

● 育成の成果を出すためのポイントは3つ
1.効果測定を行い、習熟度や課題を把握する
2.インプットだけでなく、アウトプットの機会を設ける
3.自社のDX戦略をふまえ、次の成長ステップを設計する


DXリテラシー標準の活用方法や社員の育成設計にお悩みの方は、ぜひお気軽にグロービスまでご相談ください。

法人向けグロービス学び放題は初期費用無料。
最短6ヶ月、1ID「11,550円(税込)」から導入いただけます。

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執筆者プロフィール

加藤 理美 Kato Rimi

慶應義塾大学文学部人文社会学科図書館・情報学専攻卒業後、花王株式会社に入社。法人営業、日用品・化粧品の売場戦略策定に携わる。
その後、2018年にグロービスへ。エンタープライズ企業の役員に対するナーチャリング施策の立案・運用、および、20名規模のセミナーから400名規模のカンファレンスまで、各種イベントの企画・運営を担当。
現在はBtoBマーケティング部門に所属し、Webコンテンツの企画・制作を担う。


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